原状回復費は預けている保証金から引かれて、差し引き どれくらい現金が戻ってくるのか、と期待していたのですが、 実際は、追い金を請求されました。

ただでさえ、引っ越しに際し費用がかさんでいた時でしたの で、当時はかなりのショックで、見積もり書を前にしばらく 放心状態だったのを覚えています。

その際頭に思い浮かんだことは、

  • この見積書は本当に適正なものなのか?
  • この見積書は本当にそのまま飲み込まないといけないのか?
  • この見積書は本当に反論の余地はないのだろうか?
ということでした。

このサイトは同じような経験をされた経営者、総務担当者の方 のために立ち上げた「オフィス原状回復費の適正価格を知る」 ためのサイトです。


オフィス原状回復費の相場とガイドラインの注意点

2018年5月14日

オフィス引越しと同時に、多額の費用が必要となるのが原状回復です。

事務所やオフィスのフロアーを契約する際に、原状回復に関する条項も必ず含まれているので、今まで働いていた場所であるオフィスを、借りたときの状態に戻さなければなりません。

しかし、原状回復の見積もりをとってみると、想定していた金額よりも高額になる場合が多く、突然の高額請求に驚いた・・・といお声が多いようです。

高額な原状回復費を請求されて頭を抱える前に、知っておきたいポイントを2つご紹介します!

オフィスの原状回復費における2ポイント

1.原状回復の費用相場
移転を行うオフィスのある地域の原状回復費がどれほどなのか

2.フィスの原状回復ガイドライン
オフィスの原状回復ガイドラインにおいて注意するべき点

オフィス原状回復の費用相場は、いくらぐらいなのか?

原状回復費の相場は、オフィスのある都道府県、地域、築年数、平米など、さまざまな要因によって変動します。

おおよその坪単価で考えると、オフィスの原状回復費相場は
小・中規模オフィスで1坪あたり20,000円~50,000円
大規模オフィスで1坪あたり50,000円~100,000円と言われています。

原状回復工事をを請け負う建設業界内で慢性的な人手不足が続いているにもかかわらず、毎年一定数以上のオフィス移転が必ず発生します。

そのため工事費が相対的に値上傾向にあり、数年前よりも原状回復費は高騰しています。
標準的なオフィスの原状回復費で考えると、1坪あたり60,000円程度から1.5倍以上の100,000円前後になっている地域もあります。

さらに、デザイン事務所など装飾の多い内装をしていたオフィスでは1坪あたり150,000円程度から2倍以上の30,000円程度に高騰しつつあると言われています。

今お手元にある「賃貸契約の内容」・「オフィスの使い方」そして原状回復費を算出する「見積もり業者」によって原状回復費は大きく変わります。

東京と大阪でも相場は異なりますし、同じ東京都内でも23区と八王子では相場が異なります。

相場金額は目安程度であり、原状回復費には大きな振れ幅があると認識しておくことが大切です。

原状回復費【初回見積もり額】は、相場よりも高いが常識!?

多くのオフィスにとって原状回復費の初回見積もり額は、非常に気になるものです。予定していた移転費用よりも高額になってしまう可能性がありますし、担当者の信頼にも影響してきます。

しかし、オフィスの原状回復費の初回見積もり額は相場額(1坪あたり50,000円~100,000円)よりも高くなる傾向があります。

オフィスの入っているビルの築年数やグレード、地域によって状況は変わりますが1坪あたり80,000円から200,000円で初回見積もり額が設定されることが多いようです。

原状回復工事の見積もり額なので、おおよその相場金額と比べても1.5倍から2倍程度になっています。

もちろん、全ての管理会社が高額な原状回復費を請求してくるわけではありません。
適正に妥当性のある原状回復費を請求する管理会社もありますので、偏った見方を最初からしないように気をつけたいところです。

反対に、不当に高額な原状回復費を請求する管理会社もあることは事実です。

見積額が適正かどうかを判断することは見積書だけでは非常に難しく、原状回復工事に詳しい【原状回復のプロ】の力が必要になってきます。

原状回復費が相場額よりも高くなってしまう3つの理由

初回の原状回復請求額が相場よりも高額になる理由として、3つの理由が考えられます。

1.現地視察を行っていない

原状回復費の見積もりを行う前に、担当者が事務所に来社されましたか?

原状回復費を算出するためには、オフィスの図面を確認し、実際にオフィスの原状を確かめる必要があります。

高額な請求額となるわけですから、見積もりを出す側にも手間と時間が必要となってきます。

しかし、見積額を請求する管理会社側で考えると、原状回復工事の知識のない賃貸人に対して見積もりを提出するだけなので、ざっくりとした相場よりも高めの見積もりでも大丈夫だろうと考えても不思議ではありません。

「ざっくりとした見積もり」が、原状回復費が高額になる1つめの理由です。

2.負担義務が発生しないであろう通常損耗の取り扱い

天井や壁紙、床の破損は、1箇所はあって当然です。

本来原状回復工事では、破損箇所だけを修繕すればよいのですが全面補修(全面張り替え)を前提とした見積もりが出されることがあります。

部分的な修繕に便乗して、指摘がなければ全面を改装してしまおうという意図があるのかもしれません。

また、故意や過失がなくオフィスを普通に使用しているだけで傷んでしまう通常損耗にあたる箇所も賃貸人負担として見積もりが行われる場合があります。
賃貸契約書に特別な記載がない場合、故意や過失のない通常損耗は、賃貸人負担でなく貸主負担の範囲です。

「賃貸人に費用負担義務のない箇所に対する請求」が、原状回復費が高額になる2つめの理由です。

▼原状回復工事の範囲を知りたい方は、こちらもチェック

3.管理会社が指定する工事業者以外に原状回復を依頼できない

オフィス事務所を退去する時の原状回復について、賃貸契約書に「原状回復工事はオーナーまたは管理会社が指定する工事業者に依頼しなければならない」という一文が記載されていることがほとんどです。

この1文の影響は非常に強力で、オフィスの原状回復工事は、管理会社や不動産会社、オーナーが指定している工事業者に依頼をだします。

指定業者が決まっているため、看板を外すだけで●万円、扉の交換で●●万円など価格競争が起こらず、原状回復費の見積もり額がどんどん高額になっていきます。

「指定業者だけの見積もり」が、原状回復費が高額になる3つめの理由です。

その他にも、資材代の高騰など移転時の経済状況による要因も考えられますが、原状回復の見積もりが高額になりがちな理由として押さえておいて損はないでしょう。

2つ目のポイントとして、原状回復についてのガイドラインに関してまとめてみます!

オフィスの原状回復ガイドラインの存在意義

オフィスの原状回復では、高額な見積もり請求の他に、原状回復工事を行ったあとにトラブルへ発展する場合があります。

工事後のトラブルの原因は、賃貸人が考える原状回復の範囲と管理会社の考える原状回復範囲の認識違いです。

オフィスは、数年間使用する内装設備の変化(壁紙の浮き、劣化、空調設備の故障などなど経年劣化が発生します。

明らかに経年劣化である部分の修繕まで賃貸人が原状回復を行う必要があるのでしょうか?

オフィスの管理会社は、高額な原状回復費を請求しても問題ないのでしょうか?
賃貸人とオーナー側で起こるトラブル解決として参考にされる資料が、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」です。(※国土交通省住宅局作成)

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

原状回復ガイドラインはオフィス移転時にも有効なのか?

残念なことに「原状回復ガイドライン」は、住居としての賃貸物件を想定したものです。

原状回復ガイドラインが作成されるされる前は、賃貸物件の保証金や敷金を巡ってトラブルが多く発生していました。

トラブルを事前に防ぐ目的とトラブル時の解決策として作成されました。ガイドライン作成後は、裁判所でも判断基準の1つとして採用されています。

オフィスの原状回復工事は、高額な請求がされるケースが多く不満や疑問を持たれる経営者の方は少なくありません。

少しの専門知識を持っているだけで、オフィスの原状回復義務を超える工事を防ぐことができます。

オフィス原状回復と、住居用の原状回復は似て非なるものだとしてもオフィスの移転前に、国土交通省発行の「原状回復ガイドライン」を一読し、少しでも専門知識を吸収されることをお勧めします。

また、原状回復工事後に無駄なトラブルにならないためにもガイドラインだけに頼ることなく、工事開始前に疑問点は管理会社と工事範囲の認識を一致させておくことも重要です。

認識を一致させるためにも、このガイドラインを有効に利用できますね。

オフィスの原状回復でガイドラインを参考にする場合の注意点

原状回復に関するガイドラインの基本的とされる5点をまとめます。

  • 原状回復にかかるガイドライン
  • トラブルの迅速な解決にかかる制度
  • Q&A
  • 原状回復に係わる判例の動向
  • 参考資料

国土交通省が作成した原状回復ガイドラインは次のような書き出しで始まっています。

このガイドラインは、トラブルが急増し、大きな問題となっていた賃貸住宅の退去時における原状回復について、原状回復にかかる契約関係、費用負担等のルールのあり方を明確にして、賃貸住宅契約の適正化を図る・・・

ガイドラインは、賃貸住宅民と書かれているだけで、賃貸オフィスとは書いてありません。

「オフィスの賃貸契約と、住居用賃貸契約」は異なるということになります。

国土交通省が作成したガイドラインで間違いはなにのですが、法的な拘束力はなく、オフィスの原状回復では、参考程度と考えておいてください。

ただし、過去の裁判では「小規模事務所の場合は居住用と相違なくガイドラインに沿う」という判例もありますので、マンションの1室を事務所として利用している小規模オフィスの方は、参考以上になる可能性があります。

「小規模事務所の賃貸借において、原状回復費用は ガイドラインによって算定すべきとされた事例」
http://www.retio.or.jp/info/pdf/65/65_07.pdf

オフィス原状回復費の相場とガイドラインのまとめ

多額の金額が必要となる原状回復ですが、相場金額を把握しておいたり、原状回復の知識を身につけておくことでトラブルを小さくできます。ただでさえ移転で忙しい状態のため、時間とお金の節約につながりますね。

原状回復工事は、移転時に必要となるコストのため賃貸契約の際に意識が向きにくいものです。

原状回復に関するガイドラインには、下記の一文が記載されています。

賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と捉えられがちである原状回復の問題を、「入口」すなわち入居時の問題として捉えること』

つまり、トラブルが発生しないポイントは、入居前の契約内容を賃貸人・管理会社の双方で理解しあっておくことです。

契約内容に、しっかりと目を通し、退去時の原状回復範囲として何が義務となっているのか、管理会社指定の工事業者がいるのかなどを十分に理解しておきましょう。

また、高額な請求が来る前に、原状回復費用の相場を把握しておけば、負担義務のない費用が上乗せさられていることにいち早く気づけます。

原状回復費の内容・相場額を知っていることで、オフィスの原状回復費は大幅に削減できる可能性が高まります。

高額な原状回復費でお困りの時は

請求された原状回復費が相場よりも高く減額を希望する場合は、原状回復費削減のプロに任せて賃貸人(管理会社)と交渉を代行してもらうことも考えましょう。

オフィスの原状回復では、ガイドラインは参考程度にしかなりませんし、素人が付け焼き刃の知識で管理会社と交渉をしても大幅な減額は難しいでしょう。

どれほど減額できるのか、原状回復削減の専門家へ相談することも大切です。

削減想定額を出すだけであれば、無料で対応してもらえることが多くメールでの問い合わせも可能です。

「納得できない!減額できるはず!」という場合は、専門家とチームを組み適正な額になるように管理会社と交渉できることも知っておきましょう。